鬼怒川温泉は、江戸時代から続く歴史ある温泉地です。関東からのアクセスが便利で、自然が豊かな人気の観光地。長年、多くの観光客を癒してきました。
今回は、歴史の古い鬼怒川温泉について、名前の由来、歴史、泉質などをわかりやすく紹介します。鬼怒川温泉へ観光予定の方は、ぜひ参考にしてください。
鬼怒川温泉(きぬがわおんせん)とは?
鬼怒川温泉とは、栃木県日光市の鬼怒川の上流に位置している、日光国立公園に指定されている由緒ある温泉地です。古くは、日光詣での大名や僧侶の湯治湯として親しまれていたそうです。
栃木県と群馬県の県境に位置する「鬼怒沼」を源流としています。鬼怒川温泉から宇都宮市東部を通って茨城県に至り、そこから南流して千葉県の県境で利根川に合流する河川です。栃木県を代表する河川ですよ。
現在は、渓谷に流れる鬼怒川沿いに大小様々な飲食店、土産屋、旅館、ホテルなどが立ち並んでおり、季節ごとに美しい自然を満喫できます。テーマパーク施設もあり、大人だけでなく子どもでも楽しめる温泉地です。温泉郷から徒歩約5分の駅には、浅草の駅からの特急列車が通ります。そのため、都心から2時間程で気軽に訪れることができ、「関東の奥座敷」と呼ばれています。さらに、宇都宮駅からは鬼怒川温泉の宿泊施設への無料シャトルバスが運行しており、遠方からの観光客にも便利です。このように、都心だけでなく様々な地域からのアクセスが良好なため、観光客で年中賑わっています。
鬼怒川温泉の名前の由来は
「鬼怒川」の名前の由来は、4つの説が有名です。
【鬼に関する説】
1つ目の説は、普段は静かな川が、洪水などで荒れると激しく水と岩がぶつかりあい、その様子がまるで鬼が怒っているようであることから、「鬼怒川」と名付けられたといわれています。
鬼怒川ライン下りは、この急流を利用したレジャーで、4月から11月まで営業しています。毎年、数多くの観光客が訪れる人気のスポットです。
【毛野国に関する説】
2つ目の説は、毛野国(けのくに)とよばれていた頃の話です。そこを流れる「毛野川(けぬのがわ)」が訛って、「きぬがわ」とよばれるようになったそうです。
【絹に関する説】
3つ目の説は、絹村という村に関する説です。
絹村というところで絹を洗うのによく利用されていた川があり、その川は「絹川」と名付けられました。それが現在、絹川から鬼怒川になったとされています。
【水源に関する説】
4つ目の説は、鬼怒沼という沼が水源であったために「鬼怒川」と呼ばれたとされています。
鬼怒川温泉の歴史について
むかし、鬼怒川温泉は滝温泉という名でした。起源は江戸時代に遡ります。
江戸時代(元禄4年・1691年)に沼尾重兵衛によって源泉が発見されました。当時は鬼怒川の左岸のみに湧き出る温泉として村が管理をし、滝温泉とよばれていました。日光の寺社領とされており、日光詣帰りの諸大名や、僧侶達のみが利用することを許された湯治場だったといわれています。明治2年以降からは「滝の湯」として、一般の人々が利用可能になったと言われています。
昭和2年(1927)の鉄道の開通後に、東京と鉄道でつながってアクセスが向上しました。その後、東岸にも藤原温泉が発見され、「滝温泉」と「藤原温泉」が合わさって、 現在の「鬼怒川温泉」と改称されました。
1960年代以降は、温泉街が拡大され、施設やテーマパーク、レジャー施設などの整備が進められました。
開湯はいつ?
開湯は1691年の江戸時代だといわれており、地元の村人によって偶然発見されたのがはじまりとされています。鬼怒川右岸の河原の中に湧き出ているところを見つけたそうです。
江戸時代のはなし
江戸時代の1691年に村人によって発見されたことから始まります。その頃は、徳川綱吉の時代で、生類憐れみの令が出されました。
当時は「滝温泉」と呼ばれており、江戸と会津若松を結ぶ宿場町として栄えていました。この頃は、鬼怒川の左岸だけに温泉があったそうです。1751年頃からは幕府の日光奉行という役職直轄となって、日光に参拝にきた幕府の諸大名や僧侶などの一部の人たちしか利用することができませんでした。やけどに効果があることで有名でした。
明治時代のはなし
明治時代になり、一般の人々も利用できるように一般開放されました。まだその頃は、栃木県ではなく日光県と呼ばれ、からだを癒すための場として利用されており、観光地ではありませんでした。
1927年(昭和2年)に、東西合わせて鬼怒川温泉と呼ばれるようになり、温泉地として広く知られるようなりました。
観光地になったのは、1991年(大正8年)といわれています。水力発電所の建設をするために、資材運搬用として下野軌道(東武鉄道)が開通した後、旅客を運ぶようになりました。
西と東に分かれていた?
明治時代は、西岸と東岸で名称が異なっていました。西岸を「滝温泉」、東岸を「藤原温泉」と呼び、1927年(昭和2年)に、西東の温泉が合わさって「鬼怒川温泉」となりました。
鬼怒川温泉の泉質は?
泉質は、20度~55度、8.6の弱アルカリ性単純温泉です、弱アルカリ性のため、肌にやさしいといわれています。手ざわりが滑らかで、非常に気持ちがよく、色は無色透明で無味無臭です。
昔から、やけどに対する効能があるといわれ、親しまれていました。
皮膚病、胃腸の病気などにも効果があるとされています。また、神経痛・リウマチなどの神経系への効果もあるそうです。
鬼怒川温泉の歴史的な観光スポット
日光東照宮
日光東照宮(にっこうとうしょうぐう)は、江戸幕府の初代将軍である徳川家康を神格化し、神として祀っている神社です。本来の名は東照宮ですが、他の東照宮との区別化を図るために、日光東照宮と呼ばれることが多いです。
1999年(平成11年)の12月2日に、モロッコ・マラケッシュで開かれた世界遺産委員会によって、日光の社寺が世界遺産に登録されました。「日光の社寺(にっこうのしゃじ)」とは、日光東照宮と日光山輪王寺、日光二荒山神社の建造物群と、これらを取り巻く遺跡(文化的景観)です。その中でも、日光東照宮が最も有名で人気の神社です。
また、久能山東照宮(くのうざんとうしょうぐう)と上野東照宮とともに三大東照宮のひとつとされており、日光東照宮は東照宮の総本社です。
現在の社殿群は、3代将軍の徳川家光によってほとんどが建て替えられました。寛永の大造替(かんえいのだいぞうたい)といいます。境内には国宝が8棟、重要文化財が34棟あり、全部で55棟の建造物が並んでいます。その豪華で絢爛な美しさは、圧巻で心が奪われるほどです。全国から集められた名品によって、漆や極彩色が施されており、柱には様々な美しい彫刻が飾られています。
<施設情報>
・住所:栃木県日光市山内2301
・電話番号 :0288-54-0560
・営業時間 :AM8:00~17:00
華厳の滝
華厳の滝(けごんのたき)は、日本の三大名瀑のひとつです。、四十八滝といわれるほど滝が多い日光の中で、特に有名な滝です。1200年前の8世紀後半に、日光開山をした勝道上人(しょうどうしょうにん)が、日光山に登拝したときに発見されたと伝えられています。
「華厳」とは、天台宗の五時八教説の華厳経という仏教経典より名付けられたといわれています。
華厳の滝は、高さが97メールあり、約3トンの水が1秒間に一気に落下するといわれ、迫力は満点です。爆音とともに、水しぶきが弾ける様は、雄大な自然と華麗な造形美の両方を楽しむことができます。壮大な眺めに魅了されること間違いありません。
夏には鮮やかな新緑が美しく、6月にはツバメが滝の周辺を飛び回る姿が見られます。1月~2月の冬には、一二滝と呼ばれる細い小滝が凍り、滝全体が美しい青色に彩られます。四季折々の風景を、一年通して堪能することができます。
<施設情報>
・住所:栃木県日光市中宮祠2480-10
・電話番号 :0288-55-0030
・営業時間 :3月~11月(8:00~17:00)12月~2月(9:00~16:30)
まとめ
都心からのアクセスが良く、年中観光客で溢れかえっている鬼怒川温泉。この鬼怒川温泉の歴史を知ったことで、観光がより一層楽しくなるのではないでしょうか。ぜひ、バックボーンを知ったうえで訪れてみてくださいね。